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ここでは、後遺障害等級の第九級について記載します。
①後遺障害等級表
等級 | 後遺障害 | 保険金(共済金)額 |
第九級 | 一 両眼の視力が0.6以下になったもの
二 一眼の視力が0.06以下になったもの 三 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 四 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 五 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 六 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 七 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 八 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 九 一耳の聴力が全く失ったもの 十 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 十一 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 十二 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの 十三 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの 十四 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの 十五 一足の足指の全部の用を廃したもの 十六 外貌に相当程度の醜状を残すもの 十七 生殖器に著しい障害を残すもの |
616万円 |
②第九級第一号「両眼の視力が0.6以下になったもの」の症状
※視力が○○○以下になったものについては、こちらをご覧ください。
③第九級第二号「一眼の視力が0.06以下になったもの」の症状
※視力が○○○以下になったものについては、こちらをご覧ください。
④第九級第三号「両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの」の症状
人間が「見る」という場合は、人間の視野(どこか一点を注視した場合に、その点を中心として見える範囲)の左半分は右脳の視覚野へ、右半分は左脳の視覚野へ視神経を通して映像が送られます。
その為右眼と左眼の視神経は、その中心辺りで交差をしています。これを視神経交差といいます。
視野の異常は、大きく分けると3種類あります。それぞれ簡単に説明するならば、
(ⅰ)半盲:視野の右半分や左半分が見えなくなる。
(ⅱ)狭窄:視野の広さが狭くなる。
(ⅲ)暗点:視野の中に見えない部分がある(盲点は含まない)。
「半盲症」とは、視神経繊維が視神経交叉またはそれより後方で損傷した場合に、両側の視野の右半分や左半分が欠損するもの(半盲)を指し、両眼同側が欠損するものは同側半盲、両眼の反対側の欠損するものは異名半盲といいます。
「視野狭窄」には、同心性狭窄(求心性視野狭窄とも呼ばれる)と不規則性狭窄がある。
同心性狭窄(求心性狭窄)は、視野の中心部分は問題なく見えるが、その周辺は暗く見えにくくなり、視野が狭くなるもの。
不規則性狭窄は、同心性狭窄とは違い、不規則(上方に起こるもの、下方に起こるもの等)に視野が狭くなるもの。
「視野変状」とは、広義的には半盲症、視野の欠損、視野狭窄も含みますが、ここでは視野の不規則な欠損と暗点を指します。
⑤第九級第四号「両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの」の症状
「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、普通にまぶたを閉じた状態にした時に、角膜(いわゆる黒目の部分)を完全に覆い得ない程度のものを指します。
⑥第九級第五号「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」の症状
「鼻の欠損」とは、鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損をいいます。
「鼻の機能に著しい障害を残すもの」とは、鼻呼吸困難又は嗅覚脱失を指します。
この双方が残存した場合に、第九級第五号が認定されます。
⑦第九級第六号「咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの」の症状
「咀嚼機能に障害を残すもの」とは、固形食物の中に咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合を指します。
「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音のうち、1種の発音が不能なものを指します。
※語音については、こちらをご覧ください。
⑧第九級第七号「両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」の症状
両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のもの又は両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のものを指します。
※最高明瞭度については、こちらをご覧ください。
60dBとは、洗濯機(1m)や掃除機(1m)の音量と同じ程度です。
50dBとは、家庭用クーラーの室外機や換気扇(1m)の音量と同じ程度です。
⑨第九級第八号「一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの」の症状
一耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のものを指します。
80dBとは、ピアノ(1m)の音量と同じ程度です。
⑩第九級第九号「一耳の聴力を全く失ったもの」の症状
一耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のものを指します。
90dBとは、犬の鳴き声(5m)や騒々しい工場の中の音量と同じ程度です。
⑪第九級第十号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」の症状
高次脳機能障害認定システム確立検討委員会の平成12年12月18日付報告所「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」によると、「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの」を指します。
⑫第九級第十一号「胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」の症状
例えば、交通事故による負傷で胃の全部又は一部を失ったことにより、(ⅰ)と(ⅱ)又は(ⅰ)と(ⅲ)の症状が残存した場合に該当します。
(ⅰ)消化吸収障害(胃の全部又は一部を切除したことにより、食餌が十分に消化されなくなるために起こる症状です。)
(ⅱ)ダンピング症候群(胃の幽門部(胃の出口の部分)を切除したことにより胃の内容物が急速に腸に送られるため、食後にめまい、起立不能等の症状を生じるものをいいます。)
(ⅲ)胃切除術後逆流性食道炎(胃の噴門部(胃の入り口の部分)を切除したことにより胃液等が食道へ逆流するために、食道に潰瘍等を生じ、胸焼け、胸痛等の症状を生じるものをいいます。)
⑬第九級第十二号「一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの」の症状
※手指を失ったものについては、こちらをご覧ください。
⑭第九級第十三号「一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの」の症状
※手指の用を廃したものについては、こちらご覧ください。
⑮第九級第十四号「一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの」の症状
※足指を失ったものについては、こちらをご覧ください。
⑯第九級第十五号「一足の足指の全部の用を廃したもの」の症状
※足指の用を廃したものいついては、こちらをご覧ください。
⑰第九級第十六号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」の症状
「相当程度の醜状」とは、原則として、顔面部の長さ5cm以上の線状痕で、人目につく程度以上のものを指します。
※外貌については、こちらをご覧ください。
⑱第九級第十七号「生殖器に著しい障害を残すもの」の症状
「生殖器に著しい障害を残すもの」とは、(ⅰ)~(ⅴ)のいずれかに該当する場合を指します。
(ⅰ)陰茎の大部分を欠損したもの(陰茎を膣に挿入することができないと認められるものに限る。)
(ⅱ)勃起障害を残すもの
(ⅲ)射精障害を残すもの
(ⅳ)膣口狭窄を残すもの(陰茎を膣に挿入することができないと認められるものに限る。)
(ⅴ)両側の欄干の閉塞又は癒着を残すもの、頸管に閉塞を残すもの又は至急を失ったもの(画像所見により認められるものに限る。)
⑲ご自身やご家族が第九級に該当するのでは?とお考えの方
自賠責保険における第九級の労働能力喪失率は35%です。
限度額は616万円です。
第九級では、例えば「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」は第九級第五号にあたると記載されていますが、鼻の欠損がどの程度かによって、第九級ではなく、醜状障害として別の等級で認定される可能性があります。
適切な等級取得には、深い知識を持った専門家が必要になりますので、必ず相談してみましょう。
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