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自賠責保険で支払われる入通院慰謝料の計算方法を簡単にまとめました。
※「慰謝料」=「損害賠償額の一部」であり、「慰謝料」=「損害賠償額の全て」ではないのでご注意ください。
※「損害賠償額」=「入通院慰謝料+後遺障害慰謝料(or死亡慰謝料)+治療費+休業損害+入院雑費」
①自賠責保険の慰謝料の種類
自賠責保険で支払われる慰謝料には3種類あります。
・入通院慰謝料:交通事故を原因として、入通院または通院をした場合に請求できる慰謝料
・後遺障害慰謝料:交通事故を原因とする後遺症が後遺障害として等級認定を受けた場合に請求できる慰謝料
・死亡慰謝料:交通事故を原因とする被害者の死亡により、遺族が請求できる慰謝料
また、自賠責保険の保険金(損害賠償額)には、限度額が設定されています。
・ケガの場合:最大120万円
・後遺障害の場合:最大4,000万円
・死亡の場合:最大3,000万円
②入通院慰謝料の計算方法
自賠責保険で支払われる入通院慰謝料は、日額4,200円という上限があります。
そして、以下の2つの式のどちらか少ない方を採用します。
・入院期間+通院期間
・実通院日数(入院期間+通院期間の中で実際に病院に通った日数)×2
例)9月1日に事故が発生。入通院した期間は9月1日から9月30日(30日)、実際に病院に通った日数が10日である場合。
・入院期間+通院期間=30日
・実通院日数×2=10×2=20日
少ない方を採用するので、20日が採用されます。
入通院慰謝料=日額4,200円×20日
=84,000円
となります。
実通院日数を増やせば、より多くの入通院慰謝料を請求できますが、計算式の関係上、上限金額が決まっています。
1か月が例の9月のように30日の場合、上限額は126,000円です。
③後遺障害慰謝料の計算方法
後遺障害は認定された等級次第で、支払われる金額が変わります。
後遺障害が最も重度であるとされる第1等級から第14等級まであります。
等級の数が少ないほど、後遺障害が重度であり、慰謝料も高額になります。
但し、後遺障害慰謝料は、自賠責保険の3つの基準のうち、どの基準が採用されたかでも慰謝料が変わります。
一番低額の自賠責基準と一番高額な裁判所基準では大きな差があります。
なお、任意保険基準は、各保険会社によって多少金額の差異がありますが、自賠責基準と裁判所基準の間になります。
自賠責基準による後遺障害慰謝料
第1級:1,100万円(要介護の後遺障害が残った場合は1,600万円)
第2級:958万円(要介護の後遺障害が残った場合は1,163万円)
第3級:829万円
第4級:712万円
第5級:599万円
第6級:498万円
第7級:409万円
第8級:324万円
第9級:245万円
第10級:187万円
第11級:135万円
第12級:93万円
第13級:57万円
第14級:32万円
裁判所基準による後遺障害慰謝料(目安)
第1級:2,800万円
第2級:2,370万円
第3級:1,990万円
第4級:1,670万円
第5級:1,400万円
第6級:1,180万円
第7級:1,000万円
第8級:830万円
第9級:690万円
第10級:550万円
第11級:420万円
第12級:290万円
第13級:180万円
第14級:110万円
見比べると一目瞭然ですが、自賠責基準と裁判所基準では等級によっては3倍以上金額に差があります。
大きく差が出る部分ですので、今後の生活の負担を少しでも減らす為に、裁判所基準で請求した部分です。
また、裁判所基準の後遺障害慰謝料が目安とされるのは、被害者の状態や、事故の状況、加害者の対応などで増減されることがあるからです。
④死亡慰謝料の計算方法
死亡慰謝料の内容はさらに二つの慰謝料に分かれます。
・お亡くなりになった被害者固有の慰謝料:被害者の精神的苦痛に対する慰謝料です。本来は、お亡くなりになった被害者本人に支払うべき慰謝料となりますが、被害者本人はお亡くなりになっている為、相続人が相続することになる慰謝料のこと。
・被害者の近親者の慰謝料:交通事故による被害者の死亡で、被害者の近親者が負う精神的苦痛に対する慰謝料のこと。※ここでいう近親者には、被害者の父母(養父母含む)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む。)が該当します。
死亡慰謝料のうち、被害者固有の慰謝料金額は、自賠責保険基準であれば一律ですが、裁判所基準では、お亡くなりになった方のご事情(一家の支柱、幼児や独身の男女、あるいは配偶者などどのような立場か)によって金額が変わります。
自賠責基準による死亡慰謝料
・お亡くなりになった被害者固有の慰謝料:350万円
・被害者の近親者の慰謝料:
・請求権者が1人:550万円
・請求権者が2人:650万円
・請求権者が3人以上の場合:750万円
・お亡くなりになった被害者に扶養されていたものがいるときは、上記金額に200万円が加算されます。
・合算した死亡慰謝料:900万円~1,300万円
裁判所基準による死亡慰謝料(目安)
※お亡くなりになった被害者固有の慰謝料と被害者の近親者の慰謝料を合算した金額
被害者が一家の支柱:2,800万円
被害者が母親、配偶者:2,500万円
独身の男女、子供、幼児等:2,000万円~2,500万円
裁判所基準の死亡慰謝料が目安とされるのは、具体的な事情を斟酌し、増減されるべきとされるからです。
死亡慰謝料もまた、自賠責基準と裁判所基準で場合によっては倍以上の差が出ることになります。
金銭で心の傷を癒やすことは出来ませんが、今後の生活の金銭的負担を減らすことで、少しでも落ち着いて生活が出来るようにするためにも、裁判所基準で受け取れることが最善かと思います。
しかしながら、個人で相手方と交渉を続けても、基準が変わることは難しいです。
あまりにも対応が不誠実だと感じたり、一向に交渉に応じる様子もないとなれば裁判になることも当然考えなくてはなりません。
裁判になってから専門家へ依頼するのではなく、交渉や後遺障害の等級認定の時点で専門家へ依頼しておくことで、仮に裁判になったとしても、個人で続けていくことと比べれば、大きく負担を軽減できます。
交通事故を得意とする専門家へ相談、依頼することを躊躇せず、ご自身の生活を少しでも取り戻せるよう行動しましょう。
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