交通事故における高次脳機能障害と後遺障害等級認定⑤【高次脳機能障害の可能性がある場合の対応】


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交通事故における高次脳機能障害と後遺障害等級認定①~④では、高次脳機能障害とは何かから始まり、高次脳機能障害として後遺障害の等級認定を受ける為に必要な条件について記載しました。

このページでは、ご自身やご家族などの身近な方が高次脳機能障害の可能性があると思われた場合にとるべき対応策について記載していきます。

 

①高次脳機能障害を疑うべきタイミング

 

交通事故にあった場合、障害はもちろん怪我など何もなければ不幸中の幸いではあります。

しかしながら、怪我をしたり、その怪我が現代医学では完治(治癒)しないこともあり得ます。

では、どのような症状が見られた場合に、高次脳機能障害を疑うべきでしょうか。

(1)事故直後の意識障害が6時間以上続いた場合

(2)事故直後から意識障害が数日続いた場合

(3)初診時の診断書に頭部外傷の記載がある場合

(4)事故前と比較して、怒りっぽくなった、忘れっぽくなった等の性格などに変化が見られる場合

こういった場合は要注意です。

特に(4)に関しては、被害者本人は気づかず、また普段から被害者と接していない人間では気づきにくい内容です。

上記のような症状が見られた場合は、高次脳機能障害を疑うべきでしょう。

 

②高次脳機能障害が疑われる場合

 

(1)画像検査を受診すること

画像上明らかになるケースとそうではないケースがありますが、自賠責の高次脳機能障害の基準として、「MRIやCT等の他覚的所見で器質的損傷が明らかであること」が重要な為、必ず撮影すべきです。

 

(2)専門家へ相談すること

専門の医師であれば、現在の兆候から必要な検査を受診することを薦めてくれるでしょう。

しかし、医師は治療や検査のエキスパートであって、自賠責保険や後遺障害等級認定のエキスパートではありません。

その為、適切な等級を取得し、適正な補償を受ける為には治療のエキスパートだけでなく、後遺障害の等級認定のエキスパートの力も必要になります。

なるべく早めに専門家へ相談し、ご自身やご家族の場合はどういった検査を受け、どのような書類が必要になるのかを確認しておくことで、実際に障害が残存してしまった場合に適正な補償を受ける為の活動がスムーズに行えるようになります。

もちろん、怪我や障害の治療のことだけでなく、今後の補償や保険会社の対応などその他にも不安なことはたくさんあると思います。

併せて相談を行うことにより、不安の解消に繋がります。

但し、専門家によっては早期に依頼されることで費用がかさんでしまう場合もあります。

万が一後遺障害が残った場合に備えて、どの時期から実際に依頼をするのがベストがについても確認しておきましょう。

例えば、後遺障害として高次脳機能障害が残存する可能性が高い場合、一般的な高次脳機能障害の症状固定時期は、


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(a)成人の場合:受傷後1~2年程度経過した時点

(b)未就労の自動の場合:学校などでの集団生活への適応困難の有無を知ってから(成長により障害が軽減する可能性がある為)

(c)乳幼児の場合:幼稚園や就学などによる集団生活への適応状況を調査してから(家庭環境や成長により障害が軽減する可能性がある為)

とされていますが、実際の症状固定時期はケースバイケースです。

また、可能であれば複数の専門家へ相談を行い、ご自身が一番信頼できる人を探しましょう。

専門家も人間ですから合う合わないというのもあると思います。

また、専門家同士でも得意な分野が違ったり、専門家を謳っているものの業務経験や知識が不足している場合も残念ながらあります。

専門家としての知識と人間性のどちらもがご自身にとって信頼できる方を探すことも大切です。

 

(3)時効の問題

あまり長期間症状固定をせずに放置していると時効の問題が出てきますので注意が必要です。

後遺障害による損害の損害賠償請求権の時効期間や自賠責の被害者請求権の時効期間は、損害及び加害者を知った時(例:加害者が判明している場合で、後遺症が残った場合は症状固定時)から3年です。

※自賠責の被害者請求権については平成22年3月31日以前の交通事故は2年

※相手方(加害者)が不明な事故(例:ひき逃げ事故等)は、事故から20年

その為、相手方損保等における事前認定を利用している場合は、特に気にしなくても問題ないですが、ご自身で被害者請求を行う場合や、一度事前認定等で提出された結果の異議申立手続きを行う場合若しくは、高次脳機能障害のような後遺障害で事故後ある程度の期間が経過した後に気づいた場合や、就学や就労の場面にいたって初めて障害が分かった場合は、事故からの期間を意識しておくことが大切です。

但し、ある程度期間を経過した後に障害に気づいた場合や、就学就労の場面で障害が分かった場合は、時効の起算点を既になされている後遺障害診断の症状固定時と考える必要がないケースがあります。

事情によっては形式的には時効期間が経過していると思われる場合でも、時効が完成していないケースがありえるということです。

ご自身で判断が難しいとなれば、この点も専門家に相談し判断を仰ぎましょう。

 


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