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交通事故にあった場合、車やケガだけでなく、法律や保険の用語なども数多く出てきます。
「これってどういう意味だろう?」となった場合にこのページを見て頂ければと思います。
・自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき、自動車の運行による人身事故の被害者を救済する為に、全ての自動車について契約することが義務づけられている保険。いわゆる強制保険。違反に対して刑事罰、行政罰がある。被害者保護の観点から、損害の基本的補償を公平かつ迅速に行うことが趣旨。多くの請求を公平かつ迅速に処理することを予定している制度であることから、判断システムが高度に定型化、画一化されている。
・休業損害
事故による受傷の為、休業を余儀なくされ、治療期間(傷病の治癒又は症状固定の時期までの間)に得ることができなかった利益に対応する損害。休業により実際に収入の減少があった場合に認められるのが原則。自賠責保険支払基準により定額で算定される。有給休暇を使用した場合や家事従業者の場合も認められる。
・逸失利益
事故がなければ被害者が得るはずだったと予想される利益(広義)。後遺障害を原因とする後遺障害逸失利益と死亡を原因とする死亡逸失利益のことをいう(狭義)。それぞれ単に逸失利益ということも多い。逸失利益は、労働能力喪失に伴う損害として算定される。死亡による場合は労働能力100%の喪失。後遺障害にる場合は、等級に応じた労働能力喪失率(100%~5%)をベースに算定される。
・加害者請求
自賠責保険の請求方法の一つ。加害者が、被害者に損害賠償金を支払った後、自らが加入している自賠責保険会社に対して、保険金を請求する制度(自賠法15条)。「15条請求」ともいわれる。賠償責任保険である自賠責保険の本来的請求形態。任意保険の加入が普及し、殆どのケースで一括対応が行われている。実際に支払った金額のうち、自賠責支払基準を満たすものについてのみ自賠責保険金の支払いを受けることができる。
・被害者請求
自賠責保険の請求方法の一つ。被害者が、加害者の加入している自賠責保険会社に対して、損害賠償額を直接請求する制度(自賠法16条)。「直接請求」「16条請求」ともいわれる。被害者保護の観点から設計された請求形態。被害者請求の場合、「保険金」ではなく「損害賠償額」の請求という。自賠責保険においては、加害者=ケガをさせた当事者、被害者=ケガをした当事者であり、事故態様によっては加害者であり被害者である場合もある。一般的な意味における、加害者=過失割合の大きい当事者、被害者=過失割合の小さい当事者ではないことに注意。
・重過失減額
自賠責保険の支払いにおいて、被害者に重大な過失がある場合にのみ、その減額割合に応じて総損害額から減額する制度(損害額が支払限度額以上となる場合は、支払限度額から減額)。ただし、傷害による損害額が20万円未満の場合は、その額とし、減額により20万円以下となる場合は20万円とする。被害者保護の観点から設計された自賠責保険固有の制度。任意保険(自動車保険)や民事訴訟では適用されない。従って、事案によっては自賠責基準による損害算定額が、任意保険基準や裁判基準による算定額を上回る場合がある。
・支払限度額
自賠法によって設定されている支払額の上限額。自賠責保険支払基準に基づき損害を算定していき、算定額が上限額を超えると、上限額(支払限度額)が支払われる(アマウントオーバー)。
・一括対応(一括払い)
任意保険会社が、被害者に対して、本来ならば自賠責保険によって支払われるべき部分と任意保険会社が支払うべき自賠責保険超過部分とを併せて一括して支払うサービス。いわば、任意保険会社による自賠責保険の立替払いサービス。任意保険会社は、支払った(立て替えた)自賠責保険相当額について、後日、自賠責保険に求償する。任意保険会社が一括払いによって病院に対して治療費を支払っている場合、任意保険会社は病院から提出される毎月の経過診断書、診療報酬明細書等の内容を調査し治療費支払いの判断を行っている。一括払いはあくまでも「サービス」であり、支払いを受ける被害者側に法的な請求権を与えるものではないことに注意。任意保険会社の「サービス」である以上、任意保険会社の判断で「サービス」を停止する(打ち切る)ことができる。
・打ち切り
任意保険会社による一括対応(一括払い)の停止。病院に対する治療費の支払いを打ち切るという形で行われることが多い。一括払いによって任意保険会社が病院に対して治療費を直接支払っている場合、任意保険会社は病院から提出される毎月の経過診断書、診療報酬明細書等の内容を調査し治療費支払いの判断を行っている。調査の結果、これ以上は治療不要と判断すると、被害者に通知の上、治療費の支払いを停止する。治療費の「打ち切り」は、いわば、任意保険会社による一方的な「症状固定」の判断。「打ち切り」のタイミングが、当該事案において適切な「症状固定」のタイミングであるのか、しっかりと検討する必要がある。「打ち切り」の通知があった場合、治療継続の必要性について医師の見解を確認する。医師の見解において治療継続の必要性が認められるのであれば、医師の見解と治療継続の意向を被害者から保険会社へ伝え、一括払いの継続を要請する。一括払いの継続が認められない場合、医師の見解、当該症状の性質、被害者の意向等を総合的に検討して、自費による治療継続を行うかを慎重に判断する必要がある。
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