交通事故における高次脳機能障害と後遺障害等級認定①【高次脳機能障害とは?】

交通事故における後遺障害等級認定のなかでも、いくつか後遺障害の存在を証明することが難しい障害があります。

そのなかの一つが高次脳機能障害です。

例えば、足を欠損したというのは誰の目に見ても明らかであり、その部分にしか後遺障害がない場合は保険会社の事前認定でも、専門家が行う認定の場合と結果が変わることはあまりないでしょう。

しかしながら、脳にダメージを受けたために残存した障害というのは、一見しただけでは分かりにくく、難易度を上げる一要素となっています。

このページでは、高次脳機能障害とはなにかについて記載していきます。

 

 

高次脳機能障害とは

 

機能障害の意味はなんとなく分かっても、高次脳とは何かが

続いて、高次脳機能障害とは、どのような障害を指す言葉でしょうか。

実は、この言葉の意味自体にも一般的な方からすれば難易度が上がる要素が含まれています。

それは、医学分野での高次脳機能障害と自賠責保険の分野での高次脳機能障害では多少意味が違うからです。

医学分野:脳損傷に起因する認知の障害を指し、主な症状は失語・失行・失認などがあります。

自賠責保険:失語・失行・失認以外にも、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害等の認知障害も含みます。

 

失語:脳の言語機能を司る部分にダメージを受け、言語機能に障害が残存した状態を指します。言いたい言葉が出てこなくなったり、流暢に話すことができない状態や聞こえる言葉の意味が分からない、覚えられない状態になる場合もあります。また、話言葉は問題なくとも、読み書きが難しくなるケースもあります。

失行:麻痺などが残っているわけでもなく、指示された内容も理解できているのに、指示通りに動作を行うことができない状態です。また普段の日常生活における動作もうまく出来なくなります。

失認:視力や聴力、触力などの一次的な知覚機能に障害はないにもかかわらず、対象を把握できない認知の障害を指します。見えているのにそれがなにか分からない状態を視覚失認、聞こえているけど分からない、触れているけど分からない状態をそれぞれ、聴覚失認、触覚失認という。

記憶障害:記憶に関する障害の総称を指す言葉です。新たに記憶することが出来なかったり、以前の記憶を思い出せないケースや、断片的な記憶を繋ぎ合わせ、実際に体験していない記憶を作り出す作話という状態になるケースもあります。

注意障害:周囲からの刺激に対し、複数に注意を向けたり、必要なものに注意を向けたりすることができない状態を指します。注意力が持続する時間が短い持続的注意の障害や多くの情報の中から必要な選択的注意の障害など注意力に関する障害の総称です。

遂行機能障害:目標を設定し、その目標を達成する為の計画を立案、計画を実行に移し、効果的に行動を行うという一連の流れをスムーズに行うための機能に障害がある状態を指します。このように書くと障害のない方でも出来ているかなぁと思われる方もいらっしゃいますが、脳は日常生活における行動を全てこのように行っているわけです。例えば、豚肉を買いに行くという目標を設定し、まず銀行によってATMでお金を下ろしてからA店で豚肉を買おうと計画を立て、実際に行動へ移すわけです。しかしA店ではなく豚肉が売っていない八百屋さんで豚肉を買おうとしたりしてしまうことがあるのが遂行機能障害です。

社会的行動障害:感情や行動を周囲の状況に合わせることが出来なくなる障害を指します。子供っぽくなったり、感情のコントロールが出来なくなる、欲求のコントロールが出来ずに際限なくお金を使ってしまったり、共感性やコミュニケーション能力が低下して対人関係をうまく築けなくなるケースもあります。些細なことにこだわる場合や逆に意欲が低下して何も行動を起こさない場合、反社会的行動をとるような場合もあります。

 

このように、医学分野では高次脳機能障害とはされない場合でも、自賠責保険の分野では高次脳機能障害と認定されるケースはあります。

しかし、高次脳機能障害は例えば事故前から一緒に暮らしていた家族等であれば変調に気づけるケースであっても、他者からは「元々こういう人」と思われてしまうこともあります。

当然、後遺障害の等級認定手続において、調査を行う損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所が「元々こういう人」と認定するか「後遺障害」と認定するかで等級が認定されるか否かが変わります。

 

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