被害者請求のメリットとデメリット

自賠責保険は、交通事故による被害者の補償を目的としています。その為、交通事故によってケガや死亡してしまった場合は、保険金の支払い対象となります。
自賠責保険を請求する方法は、加害者請求と被害者請求の2つがあります。

 

加害者請求(15条請求):ケガをさせてしまった、もしくは死亡させてしまった加害者側が自身の自賠責保険に請求手続を行う方法です。
被害者請求(16条請求):ケガをした、もしくは死亡してしまった被害者側が加害者の自賠責保険へ請求手続を行う方法です。

 

 

一般的な請求方法は、加害者請求(15条請求)です。任意保険に加入している場合、任意保険会社が自賠責保険から本来支払われる保険金を立替え、のちに自賠責保険へ立替え分を請求する手続きを行っているからです。
この場合、自賠責保険を請求する手続は任意保険会社が行ってくれる為、被害者の手続き面での負担は少ないです。
ですが、いつどんな場面でも、加害者請求(15条請求)がベストというわけではありません。
被害者請求(16条請求)を行うことによって、より以前の生活に近い状態で生活ができるようになこともあります。

 

 

被害者請求(16条請求)を行うメリット

 

①後遺障害等級認定に有利に働きやすい

加害者側の損害保険会社は後遺障害の等級認定手続きも行ってくれます(これを事前認定と言います。)が、事前認定は手続きに必要な最低限の書類を提出をするに留まります。これは、損害保険会社や担当者が悪いというわけではなく、現代の交通事故やそれを取り巻く環境上仕方ない面があります。毎日大量の交通事故業務をこなし、少しでも早く被害者や契約者に保険金を支払う必要がある保険会社の担当者が、1件1件の事故の被害者ごとの認定手続まで、最低限以上の資料を集めて行うのは難しいということ。損害保険会社は、損害保険事業では赤字であり、民間企業である以上、利益を求め、費用は削減する必要があります。後遺障害の等級が認定されると被害者へ支払う慰謝料なども増額し、任意保険会社が支払うべき保険金も増えてしまうということ。そして、後遺障害の等級が認定されるには、かなりの知識や労力を問われる場面があることなど。いくつかの要因がありますが、事前認定では、本来認定されるべき等級が認められなかったということは往々にしてあります。
しかし、被害者請求で手続きを行う場合、必要に足るだけの書類を提出できます。交通事故の専門家へ依頼されることで、画像所見では証明が難しい場合(むちうちや高次脳機能障害など)でも適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高まります。

 

②示談交渉前の金銭的負担を軽減することができる

加害者請求で手続を行った場合、保険金は加害者側との示談交渉が終わらなければ基本的には支払いを受けることができません。しかし、被害者請求で後遺障害等級が認定されれば、示談交渉終了前であっても、その部分の保険金を受け取ることができます。金銭的負担を少しでも抑えることで、万が一示談交渉が長引いても安心です。

 

③納得いく示談交渉を行える

②で記載したとおり、一時的に金銭を受け取れることで、示談交渉中の金銭的負担がいくばくか減ります。金銭的な不安を抱えた状態では、仮に保険会社の提示した慰謝料等が納得いく金額でなくても、急場をしのぐために、交渉を終えないといけなくなる場合がありますが、そういった場面を回避できます。また、弁護士に被害者請求を含めた対応を依頼されていた場合、示談交渉も弁護士が行ってくれます。直接加害者側とやり取りをせず、治療に専念することができる環境を作ることができます。

 

このようなメリットがありますが、被害者請求にはこのメリット享受する為に生じる様々なコスト、つまりデメリットもあります。

 

 

被害者請求(16条請求)のデメリット

 

①手続きが非常に面倒である

事前認定では、申請書類の用意から手続まで、全ての作業を保険会社が行います。保険会社の担当者も基本的には慣れていますので、被害者側に必要以上の負担を強いることなく、スムーズに手続を行ってくれます。ところが、被害者請求の場合、書類を集める作業から実際の申請手続までを全て被害者側で行わないといけません。書類の記載に必要な事項も被害者の職業によって違ったり、その書類に添付する別の書類があったりなど、非常に大変です。

 

②費用がかかる

当然ながら、病院で診断書を出してもらう為には、診断書の作成料が必要です。後遺障害の等級認定手続には、画像が非常に重要になりますが、レントゲンやMRI等の画像を取付ける為にも費用が発生します。専門家に手続を依頼された場合、依頼にも当然費用がかかります。

 

このようにメリット・デメリットがありますが、どの請求方法が一番負担が少なく、そして納得いく保険金を受け取ることができるのでしょうか。事案によって答えは変わります。

「事前認定で十分事足りると考えられるケース」
「最初から被害者請求を行った方が、結果的に負担が少ないケース」
「事前認定後、納得のいく結果が出なければ、改めて被害者請求にて後遺障害等級認定手続を行い、示談交渉を進めることがベストと思われるケース」

その為、交通事故にあった場合、一度専門家へ相談されることをおすすめします。
そもそも、後遺障害等級認定手続においても、書面のみでの審査という制度上、提出する書類が同じであれば、事前認定でも被害者請求でも同様の結果が出ます。
認定された等級が、被害者側にとって正しく認定されるべき等級であればどちらの方法でも問題はありません。
事故にあった後、どうすれば、いち早く最良の結果を得られるのかを交通事故の専門家へ相談し、その人にとってのベストな行動を取るべきです。

相談料が無料の事務所や、ご自身の任意保険に弁護士特約が付いていれば、相談料や実際の依頼料まで保険から支払ってもらえることもあります。

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