ご自身が交通事故の加害者になってしまったら


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日本における交通事故の数は年々減少傾向ではありますが、それでも毎日日本のどこかでは交通事故が起こっています。

ご自身が被害者になってしまった場合、例えば車の修理であったり、怪我の治療であったりを相手方に賠償請求することになります。

一方で加害者となってしまった場合、相手方へ謝罪や賠償をする意思があったとしても、どうすれば良いかわからないという人もいらっしゃると思います。

基本的にご自身の加入している任意保険会社の担当者へ丸投げしておけば大丈夫と考えるのは早計です。

これまでのページを見ていただければ分かると思いますが、ご自身の任意保険会社はご自身側に立ち、民間会社として利益を追求する会社でもあります。

心強いサポートをしてくれる担当者であれば問題ないのですが、基本的に保険会社の担当者は17時もしくは18時で業務時間が終了となるため、夜間等に事故が起こった場合にサポートが翌朝になってからということもしばしばあります。

また、被害者側から仕事終わりに連絡がきて、早急に相談したくても窓口になってくれる担当者とは連絡がつかないということもあります。

事故は起こそうと思って起きるわけでなく、ほんの不注意等で起こってしまいます。

万が一加害者側になってしまった場合に備えて、このページでは加害者側の責任や賠償の方法、そして加害者側が請求できる保険内容等について記載していきます。

 

①加害者が負う三つの責任

交通事故で加害者になってしまった場合、大きくわけて三つの責任が発生します。

(ⅰ)刑事責任

(ⅱ)民事責任

(ⅲ)行政上の責任

この3つの責任を果たす義務が加害者にはあります。

 

(ⅰ)刑事責任

交通事故で相手方(被害者)に怪我をさせてしまった、もしくは死亡させてしまった場合には、自動車運転処罰法に規定する罪に問われ、それらに対応する刑事罰を受けることになります。

(例:自動車運転過失運転致死傷罪は、7年以下の懲役若しくは禁固、又は100万円以下の罰金)

 

(ⅱ)民事責任

このサイトでも書いてある、相手方(被害者)への賠償に関する責任のことです。

加害者が賠償責任を負うのは、民法709条を根拠としています。

(※民法709条:故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。)

そしてこの不法行為責任の効果として、損害賠償責任が生じるということです。

つまり、相手方(被害者)の車両の修理であったり、怪我の治療費であったりを支払う義務が生じるということになります。

 

(ⅲ)行政上の責任

行政上の責任は、刑事責任や民事責任とは別に発生することがある責任です。

行政上の責任というのは、社会の治安を維持するため行政官庁が課すことになる法的責任を指します。

例えば、運転免許の停止などは刑事責任ではなく、行政上の責任になります。

 

そして、この3つの責任はどれかを果たせば良いというものではなく、発生した責任全てを果たす義務があります。

つまり、刑事責任として自動車運転過失致死傷罪に問われ、相手方へ賠償を行い、さらに運転免許が停止してしまうということがありえるのです。

不注意等であっても事故を起こすと大きな責任を複数果たす必要があるということがおわかり頂けるかと思います。

 

②加害者が被害者へ賠償を行う方法

 

(ⅰ)被害者の物損(物の損害)への賠償

被害者の車が壊れてしまった場合や事故の衝撃で被害者の車内にあった物が壊れてしまった場合等、相手方の物を賠償する場合、賠償方法は大まかに分けて2通りです。

(a)自費で賠償する:任意保険等を使用せずに、全て実費を自分で賠償する方法です。例えば相手方の車の修理費に関して、実際に修理にかかった費用を提示してもらい、相手車の修理工場もしくは相手方へ支払って賠償する方法になります。この方法であれば任意保険を使用しない為、翌年度以降の保険料には影響しないことになります。但し、相手方とのやり取りは全てご自身で行う必要がでてきますし、修理の費用が適正か否かを客観的に判断してくれる人がいないために、本来支払うべき金額を超えて支払ってしまうこともあり得ます。

(b)ご自身が加入している任意保険に付帯する対物賠償責任保険を使用する:ご自身が加入している任意保険を使用し、相手方へ賠償する方法です。この方法であれば、相手方や修理工場とのやりとりは保険会社の物損(対物)の担当者が行います。また修理費用の適正も判断し、保険から支払ってもらえるため金銭的な負担が大きく軽減されます。但し、保険を使用しているため、保険の等級は翌年3等級ダウンし、保険料も上がることになります。また、多くの保険会社は無事故の方と事故をしてから1~3年以下の方では、同じ等級でも保険料が違います。事故をした方は、事故前の元の等級に戻るまで、保険料の計算式に事故があった場合の係数を乗算するためです。その為、3等級ダウンで3年前の保険料になるわけではない場合がありますので注意が必要です。どのくらい保険料が上がることになるかは、保険会社の担当者へ確認すれば分かるかと思います。金銭的な負担のみで賠償方法を判断する場合は、保険の担当者に翌年度以降の保険料と相手方の修理費用を確認し、負担の少ない方を選ぶと良いかと思います。

 

(ⅱ)被害者の人損(人の損害)への賠償

事故によって、相手方が怪我をしてしまった場合やお亡くなりになった場合等、相手方の人的損害を賠償する場合、賠償方法は大まかにわけて3通りです。

(a)全額自費で賠償する:この方法を選ぶ人はほとんどいないはずです。なぜなら、自動車には自動車賠償責任保険(自賠責保険)加入が法律で義務づけられているからです(例外は自衛隊や米軍車両等)。自賠責保険は物損を賠償することはできませんが、人損を賠償することはできます。また、自賠責保険は使用しても保険料は上がりません。しかしながら、自賠責保険の保険期間が終わったままの人がいます。車だと車検のたびに更新する場合が多いので比較的少ないと思われますが、車検がない原付等は、ご自身で注意しておかないと自賠責保険の保険期間が終わったことに気づかず運転してしまうことになります。当然、保険料を払っていないため、自賠責保険は使用できず相手方へ全額自費で賠償する必要がでてきます。「自賠責保険は保険期間が終わっていたけど、任意保険があるから大丈夫」とは残念ながらなりません。任意保険は「自賠責保険の補償限度額を超えた部分を支払う保険」です。例えば相手方が交通事故の怪我による治療費等が合計130万円になったとした場合、自賠責保険の傷害における補償限度額は120万円ですから、任意保険は差額の10万円を支払うのみになります。自賠責保険に未加入であれば、120万円を加害者、10万円を任意保険会社が支払うことになります。幸い軽い怪我で済んだ場合、120万円を超えることは殆どありませんから、全額実費になります。さらに、自賠責未加入であると1年以下の懲役又は罰金50万円が科され、それとは別に免許も違反点数が6点付されますので、免許停止処分になります。

(b)自賠責保険(+自費)で賠償する:自賠責保険のみで賠償金の支払いが可能である場合や自賠責保険には加入しているけど、任意保険には加入していない場合、任意保険にも加入しているけど保険料が上がるのが嫌だから自賠責保険を超過した部分は自分で支払うという場合はこちらの賠償方法になります。自賠責保険は加害者請求という方法があります。この方法で自賠責保険の保険金を請求するためには、被害者への賠償金を加害者が支払い、その後で加害者が自賠責保険の保険会社へ請求することで、保険金が加害者へ支払われます。自賠責保険は任意保険と違って示談代行等のサービスはない為、相手方との交渉や病院等への治療費の支払いに関して加害者ご自身で行うことになります。自賠責保険のみの使用である為、任意保険の保険料や等級には影響はありません。この賠償方法で大変な点は2つです。相手方への賠償を行ってからでないと、自賠責保険の請求ができないことで金銭的な負担がかかる点と自賠責保険を請求するための書類作成や添付書類の収集が大変である点です。

(c)ご自身が加入している任意保険に付帯する対人賠償責任を使用するご自身が加入している任意保険を使用し、相手方へ賠償する方法です。この方法であれば、相手方や病院等とのやりとりは保険会社の人損(対人)の担当者が行います。自賠責保険に関しても一括対応してもらえるので、加害者に代わって任意保険会社が被害者へ賠償し、自賠責保険へ請求する流れになるため、自賠責保険の請求書類を一から作成・収集したりする必要もありません。また、仮に自賠責保険の範囲内で人損部分の賠償が終了した場合、人損に関しては任意保険を使用したことにならないことになりますので保険料や等級に影響が出なくなります。もちろん、その他物損で任意保険を使用したり、自賠責保険の補償限度額を超えて任意保険での支払いが必要となった場合には、保険料や等級に影響が出ることになります。

 

③加害者が請求できる保険内容

交通事故で加害者になった場合、相手方への賠償も必要ですが、ご自身側の車の修理やケガの治療も必要です。

加害者側は損害を全て自費で負担することになるわけではないので、加害者が請求できる保険内容を列挙したいと思います。


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(ⅰ)被害者への賠償のために請求できる保険

 

(a)被害者の物損を賠償するために請求できる保険

(ア)加害者の任意保険に付帯する対物賠償責任保険:相手の財物の損害を限度額の範囲内で法律上の損害賠償責任額まで補償してくれる保険です。法律上の損害賠償責任額とは、財物の時価額を指しています。

(イ)加害者の任意保険に付帯する対物賠償責任保険での補償額を超えて修理費用を支払うことができる特約:対物賠償責任保険は時価額までの補償ですが、時価額を修理費用が超えることも珍しくありません。そんなとき差額を補償してくれる特約を付帯していれば請求が可能です。特約名は保険会社によって違いますので、ご自身の保険内容を確認しておきましょう。

(b)被害者の人損を賠償するために請求できる保険

(ア)加害者の自賠責保険:被害者の怪我や死亡、後遺障害に対して限度額まで補償してくれる保険です。なお、怪我は120万円、死亡は3,000万円、後遺障害は等級に応じて75~4,000万円までの補償になります。

(イ)加害者の任意保険に付帯する対人賠償責任保険:相手の怪我や死亡、後遺障害に対して限度額の範囲内で法律上の損害賠償責任額まで補償してくれる保険です。なお、補償できるのは自賠責保険を超過した部分のみになります。

(ウ)加害者の任意保険に付帯する相手の怪我や死亡に対する一時金を支払うことができる特約:保険会社の商品内容次第ですが、相手の怪我や死亡に対して一時金を支払うことができる特約を付帯することができる場合があります。ご自身の保険内容次第ですので、一度確認をしてみましょう。

(エ)加害者の任意保険に付帯する被害者が歩行者等の過失割合の部分まで補償が可能になる特約:こちらも保険会社の商品内容次第ですが、本来被害者の過失部分は加害者にとって支払う必要がない(法律上の損害賠償責任額には含まれない)ことになりますが、その被害者側の過失部分含んだ損害額を賠償するためにある特約になります。ご自身の契約に付帯している場合もありますので、一度確認してみましょう。

(c)加害者の車の修理や物の損害を補償するために請求できる保険

(ア)加害者の任意保険に付帯する車両保険:事故が起こった際にご自身の車はかすり傷一つないということはあまりないと思います。もちろん、多少なりとも被害者側にも過失があれば、その過失分は被害者に請求できます。しかし、加害者側の過失分に関しては、当然ながら加害者の負担で修理となります。その加害者の負担部分を補償できるのが車両保険です。補償の限度額の範囲内で補償してくれます。しかし、車両保険には2種類あります。一般条件の車両保険と車両危険限定(車対車事故危険限定)特約が付帯した車両保険です。どちらも車同士の事故であれば補償は可能ですが、車両危険限定特約が付帯している場合、相手方が歩行者や自転車等の場合の加害者の車両の修理費は補償されない内容であることがあります。また、契約内容によっては、自己負担金額を設定している場合もあります。ご自身の契約に車両保険が付帯しているか、付帯していればどのような事故で補償が可能なタイプか、また自己負担があればいくらなのか確認しておきましょう。

(イ)加害者の任意保険に付帯する車両保険を使用する際、車が全損扱いとなった場合に使用できる特約:全損とは、車の修理費が車両保険で設定している補償の上限金額以上となった場合や修理ができない状態になってしまった場合を指します。保険会社によって商品名や補償内容は違いますが、全損扱いとなった場合で新しく車を取得する際に発生する車両購入費以外の費用をいくばくか補償できる特約があります。全損時諸費用特約といった名前の商品が該当します。補償額も保険会社によって違いますが、契約段階で補償額を倍額にする特約もあります。

(ウ)加害者の任意保険に付帯するレッカー等を利用した際の費用を補償する特約:物理的に走行ができない状態だけでなく、法令上走ってはいけない状態になった場合にレッカーで修理工場まで搬送する際の費用を補償できる特約です。補償の上限も決まっていますが、修理工場までのレッカー搬送はほぼこの特約で全額補償できる場合が多いです。また、JAFと提携している保険会社では、JAFを利用してレッカー搬送する場合の優遇措置がある場合もあります。レッカー搬送費用だけでなく、現場復旧作業(破損したガラスの撤去やオイルの除去等)やバッテリー上がり時のジャンピング等もこの特約で補償できる内容もあります。

(エ)加害者の車の修理期間中のレンタカー費用を補償できる特約:車の修理期間中も通勤で車を使いたい場合等でレンタカーを利用する際に使用できる特約です。契約内容次第ですが、目安として一日当たり3,000円~10,000円のレンタカー利用代金を補償できる特約があります。このレンタカー特約も保険会社はいくつかのタイプを用意しているケースがありますので、ご自身の契約内容を鑑みて、契約の有無やどのような場合に補償されるか確認しておきましょう。

(d)加害者側の怪我や死亡、後遺障害といった損害を補償するために請求できる保険

(ア)被害者の自賠責保険加害者の怪我や死亡、後遺障害に対して限度額まで補償してくれる保険です。なお、怪我は120万円、死亡は3,000万円、後遺障害は等級に応じて75~4,000万円までの補償になります。但し、加害者側の過失が大きい場合、その過失割合に応じて賠償される金額が減額されることはあります。ときおり、「交通事故の被害者に申し訳ない気持ちになるから、ご自身の怪我を相手方に請求したくない。」とお話される方もいらっしゃいますが、自賠責保険を使用しても被害者側は保険料が上がる等の金銭的負担は発生しません。また、自賠責保険の加害者・被害者の考え方は一般的な過失割合の大小で決まるわけではなく、「怪我をしている人が被害者」となります。なので、裁判や任意保険の取り決めでは加害者ですが、自賠責では被害者として扱われることが往々にしてあります。また、加害者が任意保険に加入していない場合、ご自身の治療費を自賠責に請求できる分も含めて自費で払うと、相手方へ賠償する際に資力が足りなくなってしまう恐れもあります。

(イ)加害者の任意保険に付帯する人身傷害保険:事故が起こった際に被害者側だけでなく、加害者も怪我をする場合があります。過失割合に応じて、ご自身の治療費を被害者側の保険から支払ってもらうことは可能ですが、ご自身の保険にも請求できます。限度額の範囲内でご自身の治療費や休業損害、逸失利益等を実費で補償されます。保険会社によって商品内容は違いますが、入通院中の生活サポートが付いている場合やその他の様々なサービスが付いている商品もありますので、ご自身の加入している保険では、どこまで補償してもらえるかを一度確認しておきましょう。

(ウ)加害者の任意保険に付帯する搭乗者傷害保険:人身傷害保険は実費の補償ですが、搭乗者傷害保険は実費で補償される保険ではありません。こちらは、入通院日数に応じて定額が補償される保険です。治療費に充てる保険というよりは、入通院で治療費以外の予定外の出費(入院生活に必要な物の購入費等)に充てる保険というイメージです。任意保険に加入していても、搭乗者傷害保険は付帯していないという方もいるでしょうから、ご自身の保険はどうなっているかを確認しておきましょう。こちらも保険会社によっては、入通院定額補償保険等名称が違う場合があります。

(エ)加害者の任意保険に付帯する各種特約:怪我に関する特約は多岐にわたっています。入院中の差額ベッド費用を負担する特約であったり、入院中の家族やペットのケアに関するサポートの補償など保険会社によって様々です。もちろん、特約を付加することで保険料が上がる場合があるので、任意保険全てに付加されているわけではないです。ご自身の保険内容をよく確認し、ライフプランと相談しながら、足りない部分は厚く、多すぎる部分は省いていくことが大切です。

 

 

 

 

上記に挙げた以外にも、保険会社によって様々な保険商品や特約が用意されています。もちろん、付帯する特約が増えることで年間保険料は上がっていきますので、その全てを付帯している方というのは殆どいないでしょう。また、各保険には限度額が設定されていることが多いと思います。その限度額を超えた部分は自費で賠償することになります。特約の要不要、限度額の設定金額が自分にとってベストであるのか確認しておきましょう。

また、保険会社の商品内容は年々変化しています。新しい保険商品や特約が出ることもあれば、既存の内容が少し変化することもあります。保険の見直しをきちんとしておかなければ、相手方への賠償責任を満足に果たすことができない場面が出てくる可能性があります。また、年間の保険料の負担を減らせる場合もあります。

また、加害者側に経った場合にも専門家は力になってくれます。

過失割合の関係で、保険会社が一括対応してくれず、ご自身で自賠責保険に関する請求を行う必要があるといった場面であれば行政書士が、示談や相手方との交渉、交通事故全般について弁護士が心強くサポートしてくれます。その為、ご自身が被害者になった場合も勿論ですが、加害者になった場合でも専門家の力を借りるのは大変有効です。つまり、保険の見直しだけでなく、ご自身が相談にいける範囲で信頼できる専門家がいるかということを知ることもとても大切になります。通勤通学であったり、仕事上の都合等で自動車の利用頻度が高い方は調べておいた方がよいでしょう。事前に情報を集めておくことは非常に有意義です。

 


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