事故解決の専門家を探す為の基礎知識

専門家への依頼にも記載しましたが、交通事故を扱う士業の方は大変多くいらっしゃいます。
「交通事故 専門家」「交通事故 相談」などで検索をするとかなり多くの事務所が出てきます。
自分の場合、どこへ相談するのがベストなんだろう?と悩んでしまうと思います。
ここでは、各士業ごとに、交通事故で出来ることやどんな方が相談されるのに向いているのかを簡単にまとめたいと思います。

 

①弁護士
交通事故に限らず、あらゆる困りごとの相談先として最初に挙がるのが弁護士だと思います。
交通事故業務においても、弁護士はその他の士業と比較して、出来る業務や範囲が圧倒的に広い、頼れる士業です。
ただ、弁護士へ依頼することを躊躇する大きな原因の一つが「依頼に関する費用が高額」であると思われます。
実際に費用が高額かどうかより、「高額なイメージがあり、相談や依頼をするか悩んでいる」という方もいるかと思います。
最近は「ご自身の保険に弁護士費用特約が付帯していれば、お客様負担は抑えられます。」等がサイトに記載されていることも多いです。
「相談料、着手金無料」といった初期に関する費用を抑えることができる事務所も増えてきています。
但し、相談~解決までの全ての工程を含めた費用がご自身にとって負担が少ないのかは必ず確認すべきでしょう。
サイトを見てもご自身のケースだとどれくらい費用がかかるか分からなかった場合、実際に相談して費用について質問してみましょう。
その金額で確定とまではいかなくても、概算であったり過去の類似のケースで、実際にかかった費用が聞ければ参考になります。
また、交通事故業務において、弁護士は示談交渉を依頼者に代わって行うことができます。
交渉の窓口が弁護士となり、依頼者の負担は大きく下がります。
ですが、全てを弁護士が行うわけではないので、「弁護士に依頼したから、自分は何もしなくていい」というわけではありません。
弁護士から○○してください等の指示が少なからずあるものだと思っておくと丁度良いかもしれません。
また、裁判による解決が必要である場合や、裁判を見据えて動いていきたいという場合は、原則として弁護士のみが対応できます。(但し、訴額140万円以下であれば司法書士も可)

 

②司法書士
交通事故の相談先として、司法書士がすぐに思い浮かぶ人は少ないかもしれません。
ですが、交通事故業務においても頼れる士業の一つです。
司法書士の中には認定司法書士となり、訴額140万円以下の裁判に限り、弁護士と同じく依頼人の代理人として活動できる方がいます。
裁判でなくても、請求する金額が140万円以下であれば示談交渉も弁護士と同様に行えるのです。
一般的には弁護士への依頼より費用がかからないというのもメリットにあげられます。
また、弁護士の中には、高額な案件しか扱わないことで専門性を高めている事務所もあります。
高額な案件であることは、例えば被害者のケガが重度で、今後の介護費用も踏まえて請求していくにあたり医療知識を持たずしては扱えない、といった金額以外の難所もあり、そういった案件に特化することで他の事務所に負けない魅力を持つ事務所になっていくわけです。
一方で、請求できる金額が140万円以下というのは、弁護士によっては受任してくれる方も当然いますがが、高額案件と判断する金額にはなりえないのが実情です。
とはいえ、一般的な感覚として、例えば100万円という金額はやはり高額です。
そういったケースでは、認定司法書士に依頼することで解決へ進んでいくことができます。
また裁判所へ提出する書類を作成することも出来る資格ですから、サポートを受けながら自分で裁判をしてみたいという人には良いと思います。
デメリットとしては、求める金額が140万円以下の案件しか扱えないこと。
裁判になった場合、140万円以下でも、控訴などで簡易裁判所以外で裁判することになった場合は認定司法書士といえど代理人になれません。
あくまで、140万円以内の裁判で、なおかつ簡易裁判所での一審のみ代理できる資格であるからです。
また、交通事故業務において、自賠責保険という人的な損害を賠償するための基本となる保険を請求する手続きを行うことができない為、自賠責保険の請求を考える場合には依頼者自身で行うか、別の士業へ依頼する必要がでてきます。


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③行政書士
行政書士は弁護士や司法書士とは違い、どのような内容・金額であっても裁判を行うことはできません。
そのため、示談交渉も一切できない資格になります。
しかしながら、交通事故業務を行う行政書士は少なくありません。
自賠責保険の請求、とりわけ後遺障害の等級認定手続を行うことを生業としている行政書士です。
示談や裁判ができない為、相手方と争って損害賠償額を上げることはできません。
ですが、保険会社が行う事前認定で適正な等級が認定されなかった場合、後遺障害等級認定手続を改めて申請し、適正な等級を取得することで特に争うことなく賠償額は増額します。
自賠責保険における被害者請求手続を行える士業は、弁護士か行政書士のみです。
示談交渉ができない為、行政書士単体で事故を解決するのは少し難しいでしょう。
行政書士のサイトには、「弁護士と連携して解決に当たる」という内容の文言を記載されているところもあります。
後遺障害等級認定に特化した行政書士と示談交渉等をメインとする弁護士の組み合わせは、解決に向けて非常に力強い味方になってくれるでしょう。
もしくは、ADR等を利用して費用を抑えながら、ご自身が勉強したり納得したりして進めたいという場合に、等級認定部分を行政書士に依頼してその先を自分で行うという方法を選ぶこともできます。
全部を丸投げしてしまえる士業ではないですが、ご自身が負傷している事故であれば要所をしっかりと押さえてサポートしてくれる士業です。
逆にできる限り全てを一括して依頼したいという意向がある場合には、向かない士業と言えます。

 

まとめると

弁護士
メリット:
・金額にかかわらず、どのような事故でも扱える
・弁護士が代わって示談交渉を行うため、相手方とのやりとりにストレスが溜まりにくい
・裁判までもつれ込んだ場合でも対応ができる
・慰謝料の金額は、弁護士が窓口となることで比較的簡単に増額する
デメリット:
・弁護士特約がない場合、費用が高額になるケースがある
・丸投げできるわけではない為、依頼者自身が動くこともそれなりに発生する
・後遺障害の等級が低い場合や訴額が低い場合、事務所の方針によっては依頼することができない場合がある

司法書士
メリット:
・140万円以内であれば、弁護士と同様に代理人として依頼することができる
・費用は弁護士と比較すれば低く抑えることができるケースが多い
デメリット:
・控訴等の理由で簡易裁判所での一審ではない裁判となれば代理人にはなれない
・自賠責保険請求に関する手続ができない

行政書士
メリット:
・自賠責保険の請求や後遺障害等級認定の手続きに特化している
・書類作成が業務の為、費用が低くおさえられる
・書類作成の為、事故から比較的早い段階での相談でも親身に対応してくれるケースが多い
デメリット:
・示談交渉ができない
・裁判となった場合には、金額に係わらず一切携わることができない

 

上記の士業ごとによる違いに加えて、その事務所や業務担当者の実力や人柄も重要です。
業務経験の浅い担当者である場合と業務に深い知識を持つ担当者とでは、今後の対応や結果にやはり差が出ます。
「本来ならもっと賠償額が増えていた。」「適正な等級はもう少し上だった。」ということもあり得ます。
また、担当者の人柄やご自身との相性も大切でしょう。
相手方との示談交渉がストレスだから依頼したのに、依頼先の担当者と話すことがストレスになるのでは依頼した意味が薄れます。
その為に、交通事故にあった場合は、いくつかの事務所に相談をするのも方法の一つです。
相談する為の時間を割くのも大変ではありますが、数日の労力を削ったばかりに、今後解決までの期間が大変になるのでは本末転倒です。
目安として3~5ヶ所ほど相談してみて比較すると良いと思います。


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