交通事故によるむちうちの治療と慰謝料請求


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「交通事故でむちうちになった。」という話を一度くらい聞いたことがあるかもしれません。

むちうちの症状を治療したり、むちうちの慰謝料を請求するにあたって、いくつか注意すべき事柄があり、知っていると知らないとでは、今後の生活において、大きく差がついてしまう場合があります。

既に交通事故でむちうちの症状が出ている方も、そうでない方も、是非この記事を参照の上、少しでも役立てて頂ければと思います。

 

 

(1)むちうち

むち打ちとは、そもそも症状を指す言葉であり、正式な傷病名ではありません。

医師の診断書に記載される正式な傷病名は、「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などです。
自動車の衝突や急停車等によって、首に力が加わり、首がS字にしなる様子が、鞭を打つ形に似ていることから、むちうちと呼ばれます。
症状として、

・頚部や頭部に痛みや痺れ
・めまいや耳鳴り、難聴
・吐き気や嘔吐
・上肢にしびれ
・肩甲骨周囲に痛み

などがあります。
そして、むちうち症の怖い部分は、事故直後は自覚症状がなく、上記のような症状が事故から数日以上経ってから出てくることがある点です。

 

(2)むちうち症の分類

むち打ち症は、原因や損傷の度合い、症状によっていくつかに分類することができます。

 

頚椎捻挫型

頸椎の周りの筋肉や靱帯、軟部組織の損傷であり、むちうち症全体の7割以上がこの型とされています。
この型の症状は、首やその周辺の痛み、特に首を伸ばすと強い痛みがあり、首や肩の動きが制限されることもあります。

 

根症状型

頚椎は7つの骨が積み重なっています。この積み重なった骨が交通事故で受けた衝撃によってずれてしまうと、神経を圧迫し、症状が出るのがこの型です。
「頸椎捻挫型」の症状に加えて、腕の痛みやしびれ、後頭部の痛みや顔面痛などの症状が出ます。
また、咳やくしゃみをしたり、首を横に曲げたり回したり、首や肩を一定方向に引っ張ると症状が強くなるのも特徴です。

 

バレー・リュー症状型

「バレー・ルー症状型」「バレ・リュー症候群」「後部頚交感神経症候群」とも呼ばれます。
1925年にフランスの医師「Baree」、1928年にその門下生の「 Lieou」が発表した症例です。
症状として、頭痛やめまい、吐き気といった症状以外に視力や聴力の低下、不眠や全身のだるさ等の直接事故で被害を受けた部分以外の全身に症状が出ることもあります。
原因ははっきりと解明されておらず、心因性の症状と似通った部分もある為、治療や慰謝料請求にあたっても難しい問題があります。
また、「根症状型」と「バレー・リュー症状型」の双方の症状が出るケースもあります。

 

脊髄症状型

頚椎の脊柱管を通る脊椎が損傷し、身体の麻痺や知覚、歩行障害が起こっている場合や、下肢に伸びている神経が損傷し、下肢のしびれや知覚異常、歩行障害が起こるのがこの型です。
膀胱直腸障害により、排便・排尿に支障がでるケースもあります。
むちうち症の中でも、後遺障害として残ってしまう可能性がある非常に危険な症状と言えます。

 

脳脊髄液減少症

交通事故による衝撃で脳脊髄液が漏れてしまい、様々な症状が出るのがこの型です。
初期に頭痛があり、全身の痛みやだるさ、自律神経症などがあります。
また、気圧が変化すると症状にも変化が見られる場合もあります。
症状に個人差があり、不明点が多い為、診断が非常に難しく、また慰謝料請求や後遺障害の等級認定も同様に個人では非常に難しいと症状です。

 

交通事故で首や腰などの部分に衝撃を感じた場合、たとえ痛みやしびれといった明確な症状がなくても、万が一を考えて整形外科などの病院をすぐに受診すべきです。

 

(3)むちうち症では慰謝料が低額になりやすい理由

むちうちの後遺症が出ているのに、慰謝料が低額である場合、今後痛みやしびれを軽減したり、治療を続けるのが難しくなります。
ではなぜ、むちうちの後遺症は慰謝料が低額になりがちなのか。

・事故後数日経ってから症状が出ることが多く、事故後すぐに病院へ行かなかったことで、むちうちと事故の因果関係を否定され、治療費の支払いを拒否される。
・むちうちの後遺症は後遺障害として等級認定を受けるのが個人では難しい。
といった理由が挙げられます。

むちうちになった場合、交通事故の相手方へ請求できる慰謝料は2種類あります。
入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。
すぐに病院へ行かなかった為に、治療費の支払いを拒否されると、入通院慰謝料の請求も難しくなります。、
むちうちの後遺症が出ていても、後遺障害として等級認定を受けなければ、受け取れる慰謝料が入通院慰謝料のみになり、結果として適正な金額を受け取れないことに繋がります。


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(4)むちうちの慰謝料を増額する方法

(3)で説明した通り、むちうちの慰謝料は低額になりやすいです。
少しでも慰謝料を増額する為に、必要な知識をお伝えします。

 

交通事故にあったら、自覚症状がなくても、すぐに病院を受診すること。

病院での受診が遅くなると、事故と症状との因果関係を否定され、入通院慰謝料が請求できなくなる可能性があります。
むちうちは事故直後に自覚症状がないことがありますので、仮にご自身は「大丈夫」だと思っていても、受診しておくべきでしょう。
また、接骨院や整骨院ではなく、病院の整形外科をまずは受診し、医師の指示に従って治療を進めることが、慰謝料請求においては重要になります。

 

慰謝料は裁判所基準で請求を行うこと。

慰謝料請求には3つの基準があります。
このなかで、裁判所基準での請求が一番慰謝料が高額になります。
しかし、個人で請求基準を裁判所基準にしたくとも、保険会社との交渉でまとまることは限りなく少ないでしょう。
むちうちが後遺症として残る可能性もある為、弁護士へ示談交渉を依頼し、裁判所基準での入通院慰謝料を請求してもらい、後遺症として残れば後遺障害の等級認定手続きも行ってもらいましょう。

 

入通院期間は、早めに切り上げたりせず、必要な間はしっかりと治療を受けること

入通院慰謝料は入通院期間が長いほど慰謝料が高額になります。とはいっても、治療の必要がない状態で通院を継続しても、慰謝料算定には算入されません。
しかしながら、医師が症状固定を告げる前に、自分の判断や「保険会社から言われたから」といった理由で通院をやめてしまってはいけません。
保険会社から「治療を打ち切ってほしい」「治療費の支払いを停止する」と言われた場合、それまで保険会社が支払ってくれていた治療費をご自身で負担して治療を継続していくことになります。
症状固定は保険会社ではなく、医師の判断事項ではありますが、往々にしてこういったことは起こり得ます。
のちのち、自分が支払った治療費は相手方に対してまとめて請求することができますので、一時的に立替が必要ではありますが、損になることもないです。
医師が通院が必要ないと判断するまでは、しっかりと入通院を継続することが治療においても、慰謝料請求においても大切になります。

 

後遺症が残れば、後遺障害の等級認定を専門家へ相談すること。

医師が症状固定を判断した後に、痛みやしびれ等の後遺症が残った場合は、後遺障害の等級が認定されないか専門家へ相談しましょう。
後遺障害として等級認定されると、後遺障害慰謝料を請求できるため、慰謝料が増額することになり、今後の生活の助けになります。
むちうちで後遺障害として認定される可能性のある等級は、第7級4号・第9級10号・第12級13号・第14級9号が挙げられます。
しかしながら、第7級4号及び第9級10号は、むちうちだけでなく、他の後遺障害も残存していれば可能性がありますが、
むちうち症のみでの後遺障害等級認定では、主に第12級13号と第14級9号になります。

 

第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
⇒画像診断や神経学的検査により、医学的に神経症が発生していることを証明できること

第14級9号:局部に神経症状を残すもの
⇒画像診断などによって医学的に証明ができなくても、被害者の自覚症状の内容が医学的に推定できること

 

後遺障害等級認定手続きは書面だけで行う為、画像診断が非常に重要になります。
MRIやレントゲン等の画像に異常が出ていれば、症状が明らかな為、認定を受けやすくなります。

難しいのは、画像診断では異常が見られない場合です。
この場合、第14級9号に該当するのか、それとも非該当なのかを争うことになるのですが、保険会社での事前認定手続きでは、非該当であるケースが非常に多いです。

後遺障害の等級認定手続に特化した専門家であれば可能性は上がりますが、必ず認定されるというわけでもありません。
画像診断で異常が出ない為、どうしても判断が厳しくなる為です。

保険会社は、数多くの事故に対して保険金を支払ったり、病院や自動車修理工場の対応を行うため、事前認定で画像に異常がない症状を等級取得の為に動くことが物理的に難しいという側面もあるでしょう。

等級認定手続きに特化した専門家であっても、被害者が通院を途中で勝手にやめてしまったり、症状に一貫性や常時性がない場合は難しいでしょう。

しかしながら、専門家であれば、治療段階でどのように治療を続けていくべきか、画像に異常がなければ、別の検査方法などで証明ができないかをしっかりと説明し相談にも応じてくれます。
そういったアドバイスの有無が後遺障害の等級認定手続の成否を分ける場合もあります。
その為、完治ではなく、症状固定と判断された場合は、一度後遺障害等級認定手続の専門家へ相談してみましょう。

 

しっかりと治療を受け、適切な慰謝料を得ることが、以前の穏やかな生活に戻る為の一助になります。
上記以外にも心配事や不安があれば、どのようにすればよいかを専門家へ相談しましょう。


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